語学・語学書店

本書は、１８２ページという文法書としては、けっして分厚い本では無いながらもかなり詳細に文法を扱っている印象を受け、「文法」と銘打っている割に初歩的な文法しか扱っていない近年の学習書とは一線を画します。その要因は、紹介に付されているように多岐に渡るハングル文法において「動詞・形容詞」を重点的に説明されている点でしょう（勿論他の文法項目もちゃんと収録されています）。確かに助詞等は、日本語と共通性が深く極端な話、単語と同じ感覚で知識を深めれば事足りる訳で、学習する上での壁は動詞等でしょう。そういう点では、本書の意見には賛成です。

本書のボリューム上全ての文法を網羅している訳ではありませんが、特筆すべき箇所は・初級中級文法書ながら変則活用を詳細に扱っている　・中止法（「〜して〜」の文法）、時制関連（現在・過去・未来はもちろん完了・進行形まで抑えています）を一通り抑えている　・末文の構文コーナーの充実　等があるでしょう。しかしそのため、始めて文法に接する参考書として本書を選択するのは微妙です。比較的ボリュームの少ないページ数にこれだけのエッセンスを詰め込んだ書物のため、簡潔な説明文も散見するためです。よって、一通り初歩的な文法を抑えた人が改めて本書を選択するのは結構有益だと思われます。