語学・語学書店

　そもそもこの本は同じ著者が日本語で基本例文を書き、それをスペイン語など様々な言語で訳してシリーズ化して作っていったもののドイツ語版です。ですからそれぞれの言語ごとに内容を変えるという努力を省いています。

　それでもドイツ語圏の人に日本の日常生活を説明する必要に迫られてる学習者にはなかなか豊富な会話例が嬉しいと言えるかもしれません。 また日本の社会制度についてドイツ語で記述したコラムが各ページに日独対訳形式で掲載されているので、これが大いに参考になるという人もいるでしょう。ドイツ語の文法を一通り修めた人にはうるところがあるかもしれません。

出てくるドイツ文は情け容赦ない。なにしろ本場ドイツの新聞やネットから
何の加工もせずに載せているのだから。だから難しい単語や辞書にも出て

いない単語がドンドン出てくる。教材文に対する解説は丁寧そのものだが、
なにしろ「超上級」なので２、３日すると忘れてしまうのだ。でも著者は
強弁しています。

「言語およびその学習に初級、中級、上級というような『クラス付け』はあり得ない。」

「ドイツ語学習を始めて１年ほど、という方々も、ぜひ挑戦していただきたいと希います。」

「要は『最初のうちから100％理解したり覚えたりすることを狙う!な』ということに尽きます。」

とにかく語学は、辞書を引きまくって原文を読むのが上達の早道。この本は
ドイツの報道や国内事情、ＥＵなどの時事的なことから語学の勉強に関する
著者の経験からにじみ出た考えなど、学習者が思わずうなずく珠玉の言葉が

いたるところにちりばめられています。生のドイツ語の世界に飛び込む人に
とって羅針盤の役割を務めてくれると思います。初心者がこれから何に手を
つけたらいいか、という疑問にも答えてくれると思う(少なくとも私には
答えてくれました)。

はっきりいってこの本は難しい。教材のドイツ文も高度極まりないです。